名古屋 うたのまとめ

今後は、一般職員への裾野を広げることが課題と思われる。
生損保商品のクロス・マーケティグを進める生保の営業職員にとっては、自らが募集した既契約者のオウン・エージェントとして、全人格的な信頼関係を築き総合的な生活保障のコンサルタントを目指すことが最も重要であろう。 アメリカの生命保険市場調査協会(LIMRA) の調査でも、成熟市場における生命保険商品は、保険会社またはその内務職員といった顔の見えない存在との関わりではなく、オウン・エージェントと既契約者との信頼関係を基礎とした日頃のサービス活動を通じて販売されることが最も有効であることが実証されている。

営業職員にとっては、とことん顧客の立場に立った、その真のニーズに則した保険販売とアフター・サービスを通じてオウン・エージェントたる人間的信頼を得ることが求められている。 このことは、いわば生命保険販売のアルファでありオメガであって、今に始まることではない。
しかし、市場の成熟化に伴い競争が激化すればするほど、ミスリーディングな例示販売(予当)などにより顧客の信頼を失った会社やエージェントが致命的な打撃を被り、逆に基本に忠実な顧客オリエンティッドな(顧客満足を実現した)セールスが結局は勝利する、というのがここ数年アメリカでも実証された厳然たる事実である。 顧客の信頼を獲得する方法は、既契約者とのコンタクトのみではない。
例えば、地域や職域に密着する営業職員が介護や医療情報など、高齢社会において必要でありながら入手が困難な情報のコミュニケーターとしてコミュニティの核になり、その信頼を得ていくならばそこに新たな市場を見いだしていくことも可能ではないかと思われる。 企業と国家繁栄の鍵は「信頼」であり、それは「コミュニティの成員たちが共有された規範に基づいて規則を守り、誠実に、そして協力的に振る舞うということについて、コミュニティ内部に生じる期待」であるという。
バブルの時期を通じて、国民の生活保障の提供者を自負する生命保険業界がその負託に応えて誠実に社会的使命を果たしてきたのかが間われている。 生命保険業界が21世紀の繁栄を自らのものとするには、次の2つの点でバブルの崩壊過程で低下した顧客の信頼回復を図ることが喫緊の課題であろうと考えるフランシス・フクヤマに指摘されるまでもなく、顧客の信頼こそ生活保障の提供をコア業務とする生命保険業の存立基盤だからである。
先ず第一に、会社の健全性・経営基盤に対する信頼の回復である。 生命保険業界は銀行に比し不良債権問題は小さいものの、現在極めて厳しい経営状況にある。
1997年4月のN生命の破綻を契機にさらに信頼感が揺らいでいる。 96年度は、連続する配当減配、予定利率の引下げによって、個人保険の解約が一層増加し、団体年金の生保からの資金の引上げも見られた。
今後も、金融制度改革の進展、テクノロジーの進歩による金融革新などの金融環境の変化は、生保を取り巻くリスクをますます増加させると思われ、健全性、リスク管理能力に対する信頼回復はまさに喫緊の課題となっている。 では生保の健全性に対する信頼性回復の方策は何か。
それは、先ず保険制度改革のなかで導入された、責任準備金およびソルベンシー・マージンなどの内部留保(自己資本)の充実、区分経理(ALMなど)を基礎とする収益・コスト管理および各種のリスクの一元的な把握にもとづく適切なリスク管理手法の開発などの健全性回復策を、国民の生活保障の担い手としての誇りと責任を持って進めることであるその際、高度の専門ノウハウを担う人材の育成が急務である。 次に、生命保険契約支援制度の充実や本格的な経営危機対応制度(セーフティ・ネット)の構築に全力をあげることである。

96年4月に施行された新保険業法にもとづく生命保険契約支援制度は、保険契約の移転などを通じて破綻保険会社を救済する保険会社が現れる場合に当該保険会社へ資金援助するものであり、(預金保険機構とは異なる)加盟が任意の制度ゆえの限界もあり、基金の額も最高2000億円と十分ではない。 N生命の破綻処理を巡っても、契約者に一定の負担を求めると伝えられている。
96年10月30日開催の保険審議会総会において、支払保証基金制度の導入に向け、「支払保証制度に関する研究会」が設置されたことは前述したが、今後さらなる検討を急ぎ一刻も早い法整備を実現しなければならない。 第二は、経営内容と商品の透明性の確保である。
経営の健全性に対するゆらぎは、市場規律による経営の自己規制を促す前提としての経営内容(会社の健全性)に関するディスクロージャー不足に対する顧客の不満が一因であるが、商品(情報)の不透明性も問題祝されている。 既契約の見直しや解約が増加しているが、その背景には、マクロの数値と恭離した景気の長期低迷感以外に、バブル期以降、生命保険会社によって生活保障ニーズに的確に対応した生命保険商品・サービスを勧められてきたのであろうかという消費者の疑問がある。
バブル崩壊までは顧客側にも自己責任意識が薄かったこともあるが、顧客が会社や営業職員によるわかりやすい商品情報によってニーズを自覚して、納得して加入する仕組みが十分できていなかったのではないかという疑念である。 バブル崩壊後、相次いで表面化した大規模な金融機関の経営破綻は、預金者にも自己責任意識を醸成しつつあるが、N生命の経営破綻は生命保険会社の選択においても保険契約者の自己責任意識とそれを担保する生命保険会社の経営内容と商品情報の開示の重要性を改めて認識させている。
以下では、これらの健全性確保と情報開示に関して生命保険会社が採るべき対応策についてさらに詳しく検討してみたい。 新保険業法は標準責任準備金制度を導入し、生命保険会社が毎年度末に積み立てるべき責任準備金の標準レベルを設定した。
これは、従来安定的な経済・金融情勢を前提にして、責任準備金の計算基礎を保険料計算のそれと同じにしていた行政の実務を改め、ボラタイルな事業環境とりわけ変動の激しい金利情勢の下でも十分な責任準備金の積立てを可能にし、生命保険会社の支払能力を十分なものにするという狙いを持っている。 たとえば、保険料計算上の予定利率で責任準備金を計算しても、今日のような歴史的な低金利が続く場合には将来の保険給付債務を履行するには不十分な責任準備金にしかならないことがあるからである。
生命保険会社の健全な経営基盤を確立するためには、先ずこの標準責任準備金制度にもとづき将来の保険給付を完全に履行しうるよう、適切な責任準備金を積み立てることが求められる。 ただ、標準責任準備金は、法施行後の新契約から適用されるので、バブル期の高予定利率商品の責任準備金の適正性は、やはり新保険業法でその役割の強化が図られた保険計理人の確認によるところが大きい。

保険計理人は、職業専門家としての自覚と責任をもち、日本アクチュアリー会の定めた標準実務基準にもとづいて将来収支分析などを行い、責任準備金が適正であるかどうかを判断する。 その責任は極めて重大であるといえよう。

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